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\SAS5期スクール日記・オンライン講義DAY4・12月12日開催/

SAS日記

2020.12.14(月)

オンライン講義Day4。今回は、育種と病害虫について。

 

~今回の講義内容~

 

①オリエンテーション / チェックイン
②栽培全体の中での育種
③育種 (育種その前に / 育種基礎知識 / 事例 / 参考情報)
④病害虫
⑤質疑応答

 

 

幾つか学んだ内容をピックアップしてみます。

 

 

~概要~

 

 

【育種】

 

『種は人類の重要文化財』

 

・稲や麦は、元々は雑草。脱粒して散ってしまう種を、穂の状態で刈れるように品種改良するのに1000~1500年かかっている。キャベツは現在の形になるまでに1200~1300年、とうもろこしは7000年。
・品種の多様性が無いと、疫病の大発生により飢饉が起こる危険性がある(事例:アイルランドの悲劇)。

 

『原産地に多様な遺伝子を残しておくことが大切である』

 

・品種改良をしていくと病気に弱い品種になる事もあり、耐病性のある原産地の品種と掛け合わせて性質を戻していく方法がある。

 

『採種を行う上で、作物がどのような受精の仕組みで種をつけるのかを知ることが重要』

 

・主に自家受精(同じ個体の花粉で受精する)によって生殖する作物を“自殖性作物”、主に他家受精(異なる個体の花粉で受精する)によって生殖する作物を“他殖性作物”という。
・主な自殖性作物は、ダイズ、イネ、ムギ、コムギ、トマト、レタス、シソなど。
・主な他殖性作物は、ホウレンソウ、キュウリ、カボチャ、トウモロコシ、ライムギ、ダイコン、キャベツなど。
・部分他殖性作物として、ナス、ピーマン、オクラ、ゴボウ、ニンジン、ネギ、タマネギなどがある。
・他殖性作物が自家受精を避ける仕組みは作物により異なり、“雌雄異株”“雌雄異花”などがある。
・作物毎に近交弱性が異なる為、品種の維持に必要な母本数は異なる(数個体~50個体以上まで)。
・他殖性作物は、自然交雑を防ぐための隔離距離が数百mから1km以上に及ぶので、種採りが難しい。
・種子による繁殖の他に、植物のからだの一部を使い繁殖をする“栄養繁殖”がある。
・栄養繁殖は親と同じ遺伝子を引き継ぐため、種採りが容易である。
・栄養繁殖をする主な作物は、塊茎を用いるジャガイモやサトイモ、地上茎を用いるサツマイモ、地下茎を用いるショウガやタケノコ、鱗茎を用いるラッキョウやニンニクなど。

 

 

【病害虫】

 

『主因・素因・誘因にアプローチし、原因が重ならないように小さくしていく』

 

「主因」…病原菌や害虫の存在 → 直接取り除く、抑制する。
「素因」…病害虫に侵されやすい作物の性質 → 体質強化、品種選択、栽培条件の改善。
「誘因」…病害虫の発生に好適な環境 → 病害虫の発生しにくい環境づくり。

 

・作物の状態を常に観察し、病害虫が発生する前、もしくは発生直後に対策を打てるようにする事が大切。
・土づくり、作付け体系、天候など、今に至るまでの畑の状況を遡り、病気の原因を判断する。
・病害虫がどのタイミング、どの条件で発生しやすいかを把握しておく。
・作付け体系に、病害虫を防除する計画を組み込んでおく。

 

『連作は究極の技術』

 

・連作を繰り返す事により発病衰退現象が現れ、やがて発病抑止土壌へと至るプロセスを経過させる。
・“発病抑止土壌”とは、連作にも関わらず、土壌病害が問題にならない土壌。
・連作で品質が向上する作物に、サツマイモ、タマネギ、カボチャ、ニンジン、ダイコンなどがある。

 

 

~感想~

 

 

現在自分達が当たり前のように食べている作物達は、数千年という長い年月をかけて先人達が種を採り続けてきた中で生じた賜物であり、人類の発展は育種と共にあるという事を知りました。
新たな品種を作るには、作物毎に様々な工夫と時間が必要で、育種は自分の想像していた以上に知識と時間を要する大変な作業でした…。

 

病害虫に関しては簡潔な纏めになってしまいましたが、3つの要因に対してどう対処していくかは、知識も勿論ですが畑での経験が何よりも大事だと感じました。
害虫や疫病の名前や種類が分かっていても、実際に見て気付く事が出来なければ意味がない。研修中に圃場で発生した病害虫は、しっかりとインプットしていきたいです。
連作の向き不向きは作物毎にあれど、土づくりや作付け体系により結果が異なりそうなので、過去の実証を踏まえて自分で実践してみたい。

 

講義の中で、絶滅したコウノトリを再び繁栄させる為に、除草剤を使用して生き物を殺してしまっていた水田を、多くの生物が年間を通して生きることが出来る水田へと変える取り組みの事例がありました。
ここでは、多様な生態系を作り維持していく為の細かな工夫が“人の手によって”施されていて、「コウノトリでも暮らせる環境は、すなわち人間にとっても豊かな環境をつくることに繋がってきています」という言葉が印象的でした。
市(行政)と民間の協力があって成り立つ事例でもあり、田んぼを介して人の生態系も上手く循環しているのが素晴らしいなと思いました。

 

 

…オンライン講義も残り2回、引き続きスクール生の皆さんと学びを深めていきたいと思います!

 

 

byみやっち


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