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炭素の種類と炭素率の調整について

炭素の種類と炭素率の調整について

 

たんじゅんをやる際に、炭素資材を使っていくのですが、

「炭素ってどんなものを使えばいいんですか?」

「どのように使えばいいのですか?」 と多くの方から質問を頂きます。

 

今回は、主な炭素源となる種類とその使い方などを紹介していきたいと思っています。

森の養分循環の起点となるのは、落ち葉や枯れ枝などの炭素です。日本の褐色森林土などは、森林が長年にわたり、維持されることでできてきた土です。

 

また、草原もまた、枯れ草などの炭素が養分循環の要になってきます。

世界の3大肥沃土と言われている 『チェルノーゼム』 『パンパ土』 『プレーリー土』なども、草原地帯で長年、草本の遺骸が腐植となって厚く堆積した土です。こういった土では、数世紀にわたって無肥料で栽培できるくらい養分が蓄積していました。

 

人為的に炭素を投入することで養分供給を生みだしていく「たんじゅんの畑」においては、外部から炭素源を持ち込むか、その場で緑肥や緑肥の代わりになる作物を育てて、炭素の循環を起こしていきます。

 

■炭素の種類は?

同じ炭素源でも、「分解しやすいもの」と「分解しにくいもの」があります。

別の言い方をすると、「腐りやすいもの」と、「腐りにくいもの」ともいえます。

「腐敗」しやすいものと、「発酵」しやすいものともいえるかもしれません。

例えば、生ごみなどは、腐りやすいですよね。お肉とか、動物の死がいなどは、置いておいたらすぐにおいを発して腐ってします。

一方、おがくずとか、もみ殻とか、剪定枝のチップなどは、おいておいても腐らない。分解するのにすごく時間がかかります。

分解しやすさ、分解しにくさを知るうえでの指標になるのが、炭素率(C/N比)です。

 

■炭素率(C/N比)って?

有機物などに含まれている全炭素(C)量と全チッソ(N)量の比率で、炭素率といいます。

求める式が簡単 全炭素÷全チッソ=炭素率(C/N比)になります。

以下に主な有機物の炭素率表を2つ添付しておきます(農業技術大全とWIKIより)

 

●C/N比が低い (家畜ふん・米ぬか・油粕・魚かす・廃菌床(コーンこぶ)・・・・)

有機物中の窒素分が多いものがこれにあたります。下の表を見ると有機物を分解するバクテリアの体は5~6。糸状菌は9~10

いわゆる有機質肥料として使われる鶏糞は7くらい、米ぬかは23くらい。微生物の体が大体10前後とすると、それより小さいものは、分解しやすく、それ以上のものは分解しにくくなってきます。

一般的には、C/N比がおよそ20を境として、それより小さい(つまりチッソが多い)ほど、微生物による有機物分解が早く、すみやかにチッソが放出され(無機化)、反対にC/N比が大きいほど分解が遅く、むしろ土の中のチッソが微生物に取り込まれる(有機化)といわれています。

 

●C/N比が高い (竹、バーク、もみ殻、麦わら、剪定枝、木野は、緑肥(乳熟~登熟期)など)

有機物中の炭素含有量が、チッソの含有量と比べて高いものをさします。

炭素の中にも分解しやすい、しにくいものがあります。

 

①分解しやすいもの’(易分解性有機成分)として、たんぱく質・脂質・ヘミセルロース

 易分解性有機成分は、微生物が利用しやすいため、土中にいれると、微生物が増殖し、土中の窒素分が足りない場合は

作物との養分競合などが起こり、チッソ飢餓になりやすい。適切なチッソ源をいれて調整すると良いです。

作付のタイミングも、有機物鋤き込み後、一定期間をあけて作付をしていくとよい。

 

②分解しにくいもの(難分解有機成分):セルロース・リグニンなど)

セルロース・リグニンなどの難分解性のものは、細菌類には、利用しにくい。主に、森の中では、キノコなどの糸状菌がこれを分解していきます。

分解がゆっくりのため、土中にいれてもチッソ飢餓を起こしにくいです。また、難分解性のものを含む高炭素の有機物であっても廃菌床などに代表されるように、糸状菌にコーティングされたものであれば、ゆっくり土の中にいれても、ゆっくりと養分が放出されて、作物に利用されていく。

また、分解されにくく、形が残りやすいので、排水性の改善や腐植の形成にもつながる。

 

 

■炭素循環による養分供給を生みだすために

たんじゅんの畑では、森で行われているように落ち葉、枯れ木、枯れ枝等が分解し、養分化していく時の微生物の移り変わりを再現します。

森では、まずキノコ菌などの糸状菌が炭素資材をコーティングしながら分解をはじめ、それがバクテリアに分解されていく順序で微生物が働いていきます。

基本的には、炭素率40以上のものを土に施用し、微生物や小動物による養分化を経て、植物に供給される状態を作り出します。

炭素率が40以下で低ければ低いほど、バクテリア(細菌類)による分解が起こります。

バクテリアを活性化するのは、もちろんなのですが、糸状菌⇒バクテリアという順序で炭素資材が養分化するように意図していきます。

炭素率40以上の高炭素の有機物を鋤き込む際は、場合により、米ぬか等の炭素率の低い有機物と合わせると養分化のスピードが加速します。

 

■高炭素資材をスムーズに養分化するために何ができる?

 

①細かくする 

資材を細かく砕いたりすることによって、表面積が増え、微生物が分解しやすくなります。

竹 ⇒竹パウダー

剪定枝 ⇒小さく砕いた剪定枝

 

②事前に発酵処理を施す

圃場に持ち込む前に、事前に発酵処理を施します。発酵処理を施すことによって、糸状菌などが回りやすくなります。

菌床を培地化する過程と似ています。

例 発酵もみ殻、ライトチップ化 

 

③易分解性の有機物と難分解性の有機物を混ぜて鋤き込む

高炭素の資材を入れると同意に、微生物が初期活性化できるような窒素源を添加して鋤き込んだり、

雑草や緑肥などと、高炭素資材を合わせたり、竹パウダーなどの比較的糸状菌に取り付かれやすいものと一緒に鋤き込んだりすると、単に難分解性のものを鋤き込むよりも

早く糸状菌などが周り、細菌類に引き継がれていくという養分化の過程を速めることができると思います。

 

④太陽熱養生処理(陽熱プラス)を行う

③の処理をさらに進めるために、透明ビニールマルチを使った太陽熱処理を利用する。

温度をかけることにより、未利用の有機物が微生物の活性により養分化してきます。

 

■主な炭素率(農業技術大全より)

 

gy259

 

■炭素の種類と炭素率(WIKI参照)

 

炭素率高めおがくず134~1064 
 樹皮100~1300
 竹   280
 広葉樹落葉  50~120
 小麦わら90
 もみ殻75
 剪定枝 70
  稲わら  60
  針葉樹落葉    20~60
 ピートモス   52
 十分に生長した雑草 50
 椰子繊維 48
炭素率低め米ぬか  23
 コーヒー粕23
 マメ科植物10~17
 牛糞  16
 茶粕   12
 焼酎粕  12
 ビール粕 11
 豚糞  11
 おから 11
 鶏糞   7
 油粕   7
 カビ   13
 糸状菌 9
 細菌・放線菌   5

 

 

■以下、林さんの炭素循環のHPより抜粋

一部添付しておきます。参考までに

以下がHPのアドレスです

http://tan.tobiiro.jp/qa/qa1.html#Q13

 

13. 炭素率 C/N比?(食い貯めは)

 C/N比40を境に、以下ならバクテリア(細菌類)、以上なら糸状菌(菌類)が主に働きます。そして一般的な常識とは反対に高C/N比なら窒素飢餓が起きず、低C/N比(40以下)で窒素飢餓が起きます。
そもそも、腐敗と呼ばれる現象は有害成分が生成される分解作用のことで、それに伴うマイナス現象の一つが窒素飢餓です。 低C/N比(40以下)で窒素飢餓が:
慣行施肥栽培で言う「高いC/N比」は、19~30程度の中途半端な物(主に堆肥)のこと。圃場に投入してからも腐敗が続き窒素飢餓を起こす。完熟堆肥は 15~18程度で腐敗はほぼ終わっている。窒素飢餓は起きないが他の施肥障害は起きる。
 窒素飢餓:
「腐敗分解→窒素吸収阻害物質生成→植物の窒素吸収活性低下→窒素不足」というのが実態。分解に伴う無機態窒素が十分ある。過去言われてきたように、土壌中の窒素を微生物が奪うのではない。

通常の堆肥はC/N比30に調整・堆積。バクテリアによる腐敗分解の後、C/N比15~25程度になってから畑に投入。土壌のC/N比12(日本の畑地の平均)と同じになるまで、最初は細菌類、腐敗が治まると菌類(カビ)が分解します。

無施肥・無農薬,土壌改良,菌類40:1細菌類,肥効,施肥・農薬

要はC/N比の高い資材を使いバクテリアに食わせないこと。でも、実際の現場ではC/N比を調べたり、計算する必要はありません。売上以外の計算は不要(笑)。緑肥や雑草が十分成長し種を付け、炭素固定量が最高になった時点で、生のまま鋤き込めば丁度良いC/N比になります。

麦、稲はコンバインで籾だけ収穫した直後。生食用トウモロコシなら収穫後、完全に枯れない内が適期(米糠などの補助資材を使わない場合は2週ほど置き半生状態で糸状菌の繁殖を待ち鋤き込む)。
これは新鮮な落ち葉のC/N比50と同程度。役目を終え次第、土に返せば良いという既に神様が計算済み(^-^)の絶妙なバランスです。 完全に枯れない内:
枯れると自己分解作用や微生物による分解を受け、易分解性の糖類や窒素(蛋白質、アミノ酸など)が失われ、セルロースやリグニンなど難分解性の高炭素化合物だけが残る。無駄であると同時に、C/N比が上がり過ぎキノコ菌の繁殖に時間がかかる。逆にC/N比の低い若い生の作物残滓や緑肥作物、雑草などは十分枯らせばC/N比が上がり腐敗させずに使うことができる。
 半生状態:
分解に必要な易分解性の成分を失わない程度に枯らし(細胞を弱らせ)、成分を無駄にすることなく分解を容易にする。水分を飛ばし細菌類による腐敗分解を防ぎ、菌類(糸状菌)の繁殖を促す。微生物が増え分解能力が高まれば必要のない操作だが転換初期には有効である。

 若い生の作物残滓や緑肥作物、雑草:

      作物     C/N比

・イネ科(茎葉)  8種類: 19 (出穂前の若草)

・マメ科(茎葉)  5種類: 14 (開花前の若葉、根や根粒菌Nは含まない)

・野菜(茎葉)   35種類: 14 (とう立ち前の若葉、根菜類は葉のみ、果菜は実のみ)

・アブラナ科(外葉)5種類: 17 (葉野菜の残滓)

C/N比は主要作物の平均値(蛋白質の16%を窒素、固形分の50%を炭素として計算)。

とう立ち、登熟すると3倍前後高くなる。

【参考:日本標準飼料成分表、五訂増補日本食品標準成分表など】

 

■参考文献

●炭素循環農法(林さんHP)

●土壌肥料用語事典 第2版

●だれでもできるやさしい土のしらべかた 岩田進午

●健康な土 病んだ土 岩田進午

●土のはなし 岩田進午

●現代農業 2016年10月号

など