オーガニックの分類
2019.7.11(木)
■オーガニック農法を勝手に分類
はじめにの中でも紹介しましたが、日本の農業におけるオーガニックの割合は、1%にも満たない0.5%。そして0.5%と少数派の割には、その中に多くの農法が存在しています。
最近、よく耳にするものをざーっと上げてみるだけでも
・自然農法、
・MOA自然農法、
・秀明自然農法、
・自然農、
・自然栽培、
・有機農法、
・炭素循環農法(たんじゅん農法)、
・循環農法、
・天然農法、
・バイオダイナミック農法、
・(農法とは少し違うデザイン論ですが)パーマカルチャー、
など、本当にたくさん存在しますね。それぞれに提唱者がいて、使ってよい資材の制限があったり、考え方も違います。細かくは、各農法を学ばないとわかりません。
これからオーガニック農業を始めよう!という時、何を選べば良いのか迷う、という相談もとても多いので、まことに勝手ながら、僕なりに整理、分類してみました。
それぞれの方たちが、大切にされている農法を、ざっくりと主観で配置をしています。異論もあると思います。間違いがありましたら、ご容赦ください。
縦軸は、人が積極的に関わるか、自然まかせか、
横軸は、肥料を施用するか、しないか、
で分類しています。
一番左下が、福岡式自然農法 無肥料かつ自然まかせ。
その一つ上が、川口由一さんが提唱された自然農。
さらに上にいって、より人が関わっていくけれども、基本は無肥料の自然栽培。
奇蹟のりんごで有名な木村秋則さんが提唱されてます。
その上が、炭素循環農法。
これは、より積極的に高炭素の資材を投入して、土壌の微生物を活性化していこうというもの。提唱者はブラジル在住の林幸美さんです。
少し右にずれて、自然の堆肥や発酵させた有機質肥料などをつかう自然農法、ルドルフシュタイナーが提唱したバイオダイナミックなどがあります。人が積極的に関わっていくという違いがあります。
ちなみに、補足ですが…、
自然農法には、福岡正信さん、世界救世教の教祖・岡田茂吉さんという二人の提唱者がいます。そして、世界救世教から発した自然農法は、現在、3つの団体に別れてそれぞれの基準で自然農法を提唱しています。
また、有機質肥料を使い、積極的に管理をしていく、いわゆる有機農業と言われている分類のものがより右側に位置しています。
最近では、慣行農業や有機農業の垣根を越えて、よりより土壌の生物性や物理性、化学性を整えるために、緑肥を利用する農家も増えていますね。
■農法なんて必要ない?
これらの農法を、僕自身が実践し試した結果、思うに至ったのが、
・気候の数だけ、
・土壌の数だけ、
・作物の数だけ、
・そこに関わる人の数だけ、
農法は存在するのではないかということ。
わたしたち百姓の扱うものは、いのちです。いのちを一つの方法論に押し込めることはできないし、もし、なにか、特定のいれものに沿わせようとしたら、それこそ、命があふれて、入りきらなくなってしまうのではなかろうか?
加えていうなら、人には、それぞれ、目的がありますよね。
・経営として成り立たせたい、
・自給自足でやりたい、
・趣味で農をたのしみたい、
それによって、技術や資材、道具の選択も変わります。
また、サステナビリティーには、
①環境的な持続可能性
②経営の持続可能性
の二つの軸があって、環境的な持続可能性を重視するなら、無肥料で自然任せの自然農法が良いでしょうし、経営の持続可能性を重視するなら、慣行農業を選択する方が合理的です。
この二つをバランス良く兼ね備えていないと、農業としては、成り立ちにくいと思います。
農法は必要に応じて開発された手段なので、目的にはなり得ません。
そして、それぞれの農法の原点となる本質を学ぶと、手段を選ぶことも簡単になります。
その場の自然にあわせて、変幻自在に変化していく。
いのちにあわせて、それに関わる百姓自身が、やわらかく変化していく。
そんな姿勢が大切なのではないかと思っています。
ちなみに、SAS(サステナブルアグリカルチャースクール)では、
①自然(畑)が先生
②すべては仮説:答えは自然がくれる
③出したものが返ってくる:アウトプットから学ぶ
という考えのもと、ピンクでかこまれた農法をまんべんなく取り入れ、慣行、有機の別を問わず、有用な技術であれば、まずは試して活用するという姿勢を大切にしています。
農業にはこれで完成というゴールはありません。
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