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\SAS5期スクール日記・オンライン講義DAY3・11月14日開催/

SAS日記

2020.11.16(月)

オンライン講義Day3。今回から作物について学んでいきます。
 
~今回の講義内容~
 
①オリエンテーション / チェックイン
②作物の起源と歴史
③植物生理1. 植物の構造
④植物生理2. 生長と発育
⑤植物生理3. 環境反応と代謝
⑥植物生理4. 植物ホルモン
⑦植物生理5. 環境制御の優先順位
 
今回は植物生理について学びました。
幾つか学んだ内容をピックアップしてみます。
 
 
~概要~
 
【生き残り戦略】
・生物種が子孫を残す際の戦略として、安定環境に適応し、各個体の生存率を高める“K戦略”と、攪乱環境に適応し、短時間に勢力を拡大しようとする“r戦略”がある。
・作物がどちらの戦略で生き残ってきたのかを知り、それを栽培に応用する。
 
【生育】
・生育とは、植物の体をつくる為の生長期間である“栄養生長”と、次世代の子孫(種子)をつくる為の発育期間である“生殖生長(development)”の二段階から成る。
・栄養生長と生殖生長の間に“生育相転換”という期間(ヒトで例えると思春期)があり、この時期の温度と日長を植物が感知することで、生育が移り変わる。
・作物毎に、生育が移り変わる温度と日長の条件は異なる。
・作物毎に、どの生育段階で収穫するかは異なる(葉物は栄養生長、果菜類は生殖生長など)。
 
【種子と発芽】
・種子は、胚の生長がある段階で停止し休眠した状態であり、胚が吸水によって生長を開始し、発芽が開始される。
・種子が発芽するには、適度な“水分”、発芽する為のエネルギーを満たす量の“酸素”、吸水や貯蔵物質の分解、吸収に適する“温度”、そして種子によっては“光”の4つの条件を満たす必要がある。
・光を必要とする“好光性種子”(人参、春菊、レタス、小松菜など)は覆土を薄く、必要としない“嫌光性種子”(キュウリ、ナス、ネギ、ダイズ等)は覆土を厚めにする。
・種子には作物毎に寿命があり(玉ねぎやマメ科は短命種子)、高温多湿を避けて胚の活性を低くした状態で保存すると、長寿命になる。
 
【シンクとソース】
・シンクとは、光合成産物を受け取り、消費したり蓄える為の部位:“消費部位”(果実、生長点、若葉、根など)。
・ソースとは、光合成を行う部位:“生産部位”(大部分は多くの光を受ける展開葉)。
・シンクとソースのバランスが悪いと、葉が枯れたり果実に十分な栄養が行き渡らない等の症状が出るので、果実を若採りしたり適宜で収穫する(シンクを減らす)といった工夫が必要。
 
【春化】
・植物が一定量の低温に満たされることで花芽分化(生殖生長)へと誘導される現象を、“春化”(バーナリゼーション)という。
・低温を感受する時期は植物により異なり、種子が発芽する過程で低温を感受する“種子春化型”(ダイコン、カブ、白菜等)と、植物が一定の大きさになり低温を感受する“緑植物春化型”(キャベツ、タマネギ、ニンジン、ゴボウ等)の2つに分かれる。
・低温による刺激は、直後に高温に当たることで消去(リセット)される為、トンネルを掛ける等をして昼間にトンネル内の温度を上げて春化を防ぐことを、“脱春化”(ディバーナリゼーション)という。冬から春にかけての時期に、栄養生長の段階で収穫したい作物(11月以降に播く葉物や根菜類)に用いる。
 
【光合成】
・植物が葉と根で二酸化炭素と水を吸収し、光のエネルギーを利用して炭水化物を作り酸素を放出する作用を“光合成”という。炭水化物は、植物の主なエネルギー源や細胞壁の主成分であるセルロースとなる。
・光合成で作り出した炭水化物と、根から吸収した窒素やリン酸、ミネラル類が合成して、たんぱく質や脂質、核酸や酵素を作り出す。
 
【植物ホルモン】
・植物ホルモンは植物自身により作られる物質であり、少量で植物の生長や文化をコントロールする。
・主な植物ホルモンに、芽の先端で作られる“オーキシン”(細胞を肥大、根を伸ばすなど)と、根の先端で作られる“サイトカイニン”(細胞分裂促進、老化抑制、側芽の生長促進など)があり、両者は相互に作用を及ぼす。
 
 
~感想~
 
作物(植物)を育てる上での基礎知識となる植物生理。ここに記載したのはほんの一部。
植物という生き物の仕組みを理解し、活用する事が人間の成せる技術であり、それが農業の醍醐味だと思いました。
 
夏場には果菜類に対するシンクとソースのバランスを、冬場には葉物や大根に対する脱春化の必要性を、実際に圃場の中で作物を見ながら学ぶことが出来るので、より理解が深められています。
 
引き続き、圃場での実習と座学での講義で学びを深めていきたいと思います!
 
 
byみやっち
 


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