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\SAS5期スクール日記・オンライン講義DAY2・10月17日開催/

SAS日記

2020.10.20(火)

今回は、Zoomを使用したオンライン講義Day2。
今日は、いつもの「みやっち」による講義のレポートです。 

 

~今回の講義内容~
①    オリエンテーション / チェックイン
②    基盤整備
③    土壌診断
④    育土とは?
⑤    育土の種類

 

前回少しだけ触れた「土づくり(基盤整備)」の続きから「育土」までが今回の講義内容。
「基盤整備」と「育土とは?」のセクションを、要点を絞ってざっくりと纏めてみました。

 

~概要~
②基盤整備
『土台(基盤)を作ってから、上物を立てる』

 

作物を栽培するための土台となる「物理性・生物性・化学性」を整える事が基盤整備。

 

【土壌を構成する4つの要素】
・空気…「物理性」
・水…「物理性」
・有機物(落ち葉や腐植、微生物や小動物など)…「生物性」
・無機物(養分、鉱物など)…「化学性」

 

「物理性」
≪通気性が良く、水持ちと水はけの良い団粒構造の土壌にする≫

 

・水持ちと肥持ちの良い粘土(埴土)と、水持ちと肥持ちの悪い砂(砂土)の間の“壌土”を目指す。水で湿らせた土壌を捏ねると、土性が簡易的に分かる。
・土層の改善には、機械を使用した深耕や硬盤破壊、堆肥施用や緑肥作物の鋤き込み等をする。
・土壌水分の改善には、明渠や暗渠、硬盤破壊、堆肥施用や緑肥作物の鋤き込み等。
・作土層(作物の根が張れる層)は最低20cm程あった方が良く、硬盤層を有効土層に変える事がポイント。

 

「生物性」
≪生物の種類と量が豊富な土壌にする≫

 

・土壌のプランクトンと呼ばれるトビムシが、土壌生物の多様性を生み出す。
・窒素率の低い落ち葉などの有機物を窒素率の高い微生物や動物が食べる事で、植物が必要とする養分が土壌に増えていく。~生物がいるだけで土が肥えていく~
・土壌動物の腸内を通して排出される糞が、土壌のpHを変化させ団粒を作る。
・土中を土壌動物が移動する事で物理構造が変わり、植物の根の成長や形に影響を与える。
・土壌動物が有機物を噛み砕く事で土壌微生物の活動を盛んにし、物質循環や養分循環を促進させる。
・微生物の多様性が高い土壌は病原菌が蔓延しにくい土壌生態系が形成されている(じゃがいもとほうれん草の実験より)。
・植物の根の周辺には微生物が多く繁殖していて(根面微生物)、根と共生し病原菌による発病を抑止する効果もある。
・生物性を改善するには、“土壌生物の餌となる有機物を投入し、植物を作り続ける”。
・緑肥は、作物にとっての病害虫である線虫の予防効果がある。

 

<腐植>
腐植とは、一般に土壌中に存在する有機物のうち、まだ明確な形が残る新鮮な動植物遺体(粗大有機物)を除いた無定形の褐色ないし黒色の有機物で、作物の生育に適した土を作っていくうえで、極めて重要なもの。

 

【腐植の主な役割】
・土壌のCECの拡大による保肥力の増大。
・作物に供給する養分(窒素やリン等)の貯蔵庫。
・土壌団粒の形成
 

 

「化学性」
≪適正なpHと養分バランスの取れた土壌にする≫
 

 

・日本の土壌は元々酸性土壌であり、野菜の生育に適さないものが殆どで改良の必要性があるが、戦後の土壌改良を続けた結果メタボな場所(養分過多)な場所もある。
・化学性を測る事で無駄が省け、再現性を高くする為の基準を持ち、原因の追究が出来る。
・土壌の持つ負の電荷量を表す“CEC”により土の保肥力が分かり、粘土と腐植の量によって大きさが決まる。
・CECに対し、どのくらいの割合で塩基(陽イオン)が保持されているかを表すのが“塩基飽和度”。カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)の割合の合計で示される。
・塩基飽和度と土壌の酸性度を表す“pH”は相関関係にある。塩基飽和度が80%で「Ca : Mg : K = 6 : 2 : 0.5~1」のバランスが取れると弱酸性の土壌(pH6.0~6.5)となる。多くの作物でミネラルバランスが取りやすくなり、養分の溶解率が高くなる。
・土壌の塩類濃度の指標となるのが“EC”で、値が高い程肥料分が多く含まれている。作物毎に適正値が異なる。

 

【参考:土壌の化学性診断と人の健康診断との関連性】
・[塩基置換容量(CEC)]-[胃袋の大きさ]
・[塩基飽和度]-[満腹具合]
・[水素イオン濃度(pH)]-[体温]
・[電気伝導度(EC)]-[血圧]
・「有効態リン酸量」-[年齢]
・[有効態窒素量]-[栄養成分量]

 

④育土とは?
『作物による作物のためのカスタマイズ』

 

その作物に適した土壌生態系にすることが育土であり、作物を育て続けることが育土に繋がる。

 

【育土の3段階】
・[基盤づくり]作物生産を行うための最低限の生産基盤を整えること。
・[活性化(アクティベーション)]土壌生態系が豊かになるように、土壌の物理性・化学性を整えたうえで生物性を上げること。
・[組織化(オーガニゼーション)]作物ごとに好む物理性・化学性・生物性にカスタマイズすること。

 

~感想~

 

 今回から具体的な農業技術や知識を身に着けていく講義に入りました。

 

ここで書いた概要は講義のほんの一部で、この他にはいかす圃場での土壌の化学性改良の事例や土壌診断の土の採取の仕方、診断結果毎の対処法、地域資源を活用した育土の例や堆肥の種類、具体的な緑肥活用の手順etc…

 

情報たっぷりでまだまだ消化しきれていない部分もありますが、こうしてアウトプットすることでより理解が深まるのを実感できています。

 

次回からは作物に焦点を当てた講義となります。
引き続き圃場での実習と合わせて学びを深めていきたいと思います!

 

byみやっち


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