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トマトの疫病対策

【トマトの疫病対策】

 

今年は、雨が非常に多かったです。長雨+日照不足から、病気や虫が発生するなど、畑の作物にも影響がかなりでました。

     そんな中、僕たちの畑・いかす平塚圃場サステナブル・アグリカルチャー・ファームで湘南オーガニック協議会主催の有機農業勉強会を開催しました。そこでトマトの疫病対策についても少し話したので、その内容をブログでもシェアしますね。

■疫病とは?

土の中にいる糸状菌(鞭毛菌類)が、雨による泥はねなどで、植物の茎や葉・果実・根に付着することで発病します。雨の多い梅雨時期に多発し、感染すると黒い病斑ができ、ひどくなると腐ります。

 

●写真 左 葉が疫病で黒くなり枯れています 

●写真右 実が疫病に感染し黒ずんで、ひどいとくさり、落ちてしまいます。

病斑が水に濡れると胞子が飛散し、遊走子となって、泳いで、移動します。そして、気孔から侵入、組織内に菌糸を伸ばして、増殖、発病します。

雨が降ると、植物体全体に広がってしまうのは、このためです。

■トマトの疫病対策

オーガニックでトマトを栽培する場合は、最初に発生しにくい環境を整えることが基本です。

 

基本① 泥はねを防止する。

・ビニールマルチなどをする。

・高畝にする。

・できれば、ハウスで栽培を行う。

路地の場合でも、雨よけビニールを張るなどの物理的な対策をすると良いです。

基本② 藁や落ち葉、剪定枝を活用する。

藁や落ち葉、剪定枝の中にいる枯草菌は、疫病菌と拮抗してくれるため、疫病予防になります。

 

・定植してすぐの間は、株元に剪定枝チップや落ち葉など、枯草菌がすきそうな高炭素資材をマルチング(敷き詰め)します。梅雨前までは畝間に燕麦を生やしておくのも良いです。

・梅雨が本格化する前には、畝間や畝の上を、藁や剪定枝チップで覆うなどします。

 

このように、物理的な飛散を防ぎ、枯草菌による拮抗作用が起こることで、多発しにくい環境を整えることができます。

写真解説

左から 株元のチップマルチ

中央と右 疫病の葉と実を落とした後に、放線菌の堆肥と米ぬかをサラッと散布し、剪定枝にチップをマルチしています

■疫病が発生してしまった場合の対処の仕方

①病斑(黒カビ)が発生した葉をすべてカットして畝間に落とします。

②株元のマルチ穴を剪定枝チップで塞ぎます。(土からの蔓延を防止)

③畝間の燕麦を刈り倒して、米糠をパラパラ撒き、剪定枝チップをを敷きます。

面積にもよりますが、家庭菜園程度であれば、晴れた日を選んで、納豆を1パックに水を加え、ミキサーでクラッシュ。散布しやすい濃度にして、散布します。

 

有機JASで使える農薬も紹介しておきます。

 

〇クリーンカップ水和剤 (銅・バチルス ズブチリス水和剤)

https://www.kumiai-chem.co.jp/products/document/cleancop_wp.html

納豆菌や枯草菌と同じバチルス属の菌です。有効成分は生菌と天然の銅。殺菌と菌による拮抗作用で疫病を抑えます。

トマトの他の病気、例えば、葉かビ病やすすかび病にも有効です。

 

〇Zボルドー(殺菌剤)

無機銅剤(塩基性硫酸銅)であり、糸状菌病害から細菌性病害まで幅広い病害に。トマトの疫病などにも有効です。

http://www.greenjapan.co.jp/zborudo_ds.htm

 

土壌生態系、植物生態系と環境の関わりの中で作物が育ちます。

今年のように自然環境が調わない時こそ、少し後押しする人の手が肝心です。

何を引いて何を補うと良さそうか、まずはしっかりと観察して、対策を講じてくださいね。

 

■ちなみに、別の圃場で初期からチップでマルチをしておいたところは、疫病の被害がほとんどありませんでした。

今年は、特に低日照で雨続きだったので、こういう時こそ、初期に対策をうっておくことの大切さを痛感しました。

8月8日現在 天気が回復した後のトマトの様子です。露地でのソバージュ栽培(無整枝栽培)です。

疫病の葉は、この天気で枯れあがって落ちて、健康な葉に入れ替わりました。順調に回復して、収量があがっています。収穫の最盛期を迎えています

 

■■お知らせ■■■

①有機農業勉強会

次回の有機農業勉強会は8月9日(金)13時から、いかす平塚圃場サステナブルオーガニックファームで開催します。無料です。ご興味のある方はぜひ!

お申込みはこちらからお願いします。

https://ssl.form-mailer.jp/fms/897898a6621951

②SAS説明会

体系的にオーガニック農業について学びたい方は、サステナブルアグリカルチャースクールへどうぞ!

8月25日に説明会を開催します。説明会の内容は、講義が主です。

オーガニックで農業を可能にするための大切なポイントをお伝えしています。また、講義後は、希望者は、SASの畑の案内をしています。平塚市で唯一の有機JAS認定圃場です。その場で、お野菜を食べながら実際の圃場をみていただけます。もちろん技術的な解説もさせてもらいます。お楽しみに

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