iCas

menu

とうもろこしの物語

野菜の物語

2016.8.8(月)

はじめに

トウモロコシは、米、小麦とならぶ、3大食用作物と呼ばれています。

トウモロコシがなかったら、今の人類の暮らしが成り立っていないというほど重要な作物です。

生でも食べられるスイートコーンから、トルティーヤの材料としての粉状にされたトウモロコシ、映画のお供のポップコーン、

「それにつけてもおやつはカール」のカールもトウモロコシが使われています。

 

最近は、食べられなくなってきたが、もちもちした食感のもち種。家畜の餌には、デントコーン。はては、燃料、工業製品と様々な品種と用いられ方をしています。

そんな人類の暮らしときっても切れないトウモロコシの物語をみていきたいと思います。

 

■起源

トウモロコシは、長い間、起源となった野生種が見つからない植物でした。

20世紀後半に、約9000年前にメキシコ南部のバルサス川流域でテオシンテという近縁野生植物からうまれたことが判明しています。

 

■コロブス到達以前

トウモロコシは、8000年以上も前から、先住民により栽培されてきました。

当初は大きさ2㎝、実も数列しかつかず、脱粒性という実が落ちてしまう性質をもっていましたが、農民の意識的、無意識的な選抜が繰り返され、500年前には、大きさも今のものと近くなるまで選抜を繰り返してきました。

脱粒性がなくなるということは、トウモロコシは、人が播くことなしに繁殖できない植物になったことを意味しました。

原始のトウモロコシは、ポップコーン一種でしたが、そこから、フリント、デント、フラワーなどの穀物としてデンプンを利用するタイプの種類が分化していきました。

 

■コロンブス到達以後(15世紀末)

コロンブスがアメリカ大陸に到達した以後は、スペインに持ち帰り、フランス、イタリアとヨーロッパに広がり、約100年ほどで、世界中に広がりました。当時は、粉にして穀物として、そして、家畜のえさなどに利用されていました。

 

■日本への伝播

1579年、ポルトガル人によって、日本の長崎にトウモロコシが入ってきました。

今のトウモロコシとは、違いフリント種(硬粒種)でした。

明治に入り、北海道の開拓地でアメリカから輸入した、スイートコーンがつくられるようになり、北海道から全国に広がっていきました。現在でも、北海道が生産量で一番多くなっています。

 

■人間との関わりあいで得たもの、失ったもの

先にも書きましたが、トウモロコシは、もともとイネ科の植物がもっている脱粒性という、熟すとかってにバラバラと種がおちる性質がありましたが、人の選抜が入ったことにより、その性質をなくし、人との関わりあいなくしては、育たない植物に変化してきました。

そして、より大きい実をとりたいとうことで、選抜が繰り返され、品種改良された結果、現在のような大きな実のつくトウモロコシが出来上がりました。

しかし、良いことばかりが起こったわけではありません。

特にアメリカでは、ハムシ(ウエスタン・コーン・ルートワーム)という害虫に悩まされてきました。この昆虫の幼虫は、トウモロコシの若い苗の根にとりつき、枯らしてしまいます。そのために、世界全体での損失額は年間10億ドルに及びます。

 

しかし、野生のトウモロコシや、ヨーロッパでもっとも古い品種などは、その虫の抵抗性をもっていることが分かりました。ハムシの幼虫が根につくと、トウモロコシは、「カリオフィレン」という物質を出し、小さなセンチュウを引き寄せます。そのセンチュウは、羽虫の幼虫が大好物なので、駆逐してしまいます。

 

人類が実を大きいものをとり続けた代償として、本来の防御能力を失ってしまいました。

失われた能力を復活させるために、遺伝子工学の力を使い、オレガノから取り出したカリオフィレンを出す遺伝子を組むことをして、本来の能力を復活させました。

 

これは、良し悪しではなく、人がかかわり続けることによっておこる宿命みたいなものなのかなと思いました。

 

とうもろこしの品種

トウモロコシには、様々な粒質の品種群があります。

スイートコーン(甘味種)皮がやわらかく甘みの強い品種 ゆでたり焼いたりして食べられる

デントコーン(馬歯種)種のてっぺんがへこんでいるので、馬の葉が並んでいるように見えることから、その名前がつきました。

コーンスターチは、ほとんどがデントコーンから作られます。家畜の飼料、バイオエタノールにも使われています。

 

○フリントコーン(硬粒種)

熟した種がとても硬いのが特徴。スイートコーンが広がる前は、熟す前の柔らかい実を食用に利用していた。メキシコなどでは、熟し乾燥させたものを、すりつぶして、トルティーヤをつくってきた。スナック菓子の加工や家畜の飼料にも使われる

 

○ポップコーン(爆裂種)

いわずとしれたポップコーンの材料。小さくて丸い実を加熱するとはじけてポップコーンになる。利用の例としては、ポップコーンやコーングリッツなどに利用される

 

○ワキシー( 糯(もち)種)

もちもちした食感のトウモロコシ。デンプン質が多い。

 

○ポッド(有ふ種)

粒がひとつずつ頴に包まれているコーン。日本ではほとんど見ない

 

■トウモロコシの使い道

世界中で作られているトウモロコシの使われ方をみてみると、

その60が家畜の飼料、約36%が工業製品、残りの約4%が食用に使われています。

 

○家畜の飼料として 

主に、牛、豚、馬、鳥などのための資料として使われています。

①配合飼料として 

トウモロコシなどの何種類かの穀物を混ぜてつくる飼料の材料としてつかわれます。

②サイレージ 

主に、デントコーンを青いときに、刈り倒して、まとめて乳酸発酵させてサイレージという乳酸菌主体の漬物をつくって家畜にあげます。

 

○工業製品として

500種以上の製品に加工されている(製紙、プラスチック、梱包材、絶縁体、接着剤、医療品、石鹸、殺虫剤など様々に利用)

 

【バイオエタノールとして】 

トウモロコシの種に含まれるデンプンからアルコールを作り出します

 

【バイオマスプラスチック】

コーンスターチからビニール製品やプラスチックを作ることができます。石油からつくられたものと違い、土の中で分解されゴミにならないので、環境に優しい素材として活用されています。

 

【段ボールづくりに利用】

段ボールを接着する接着剤として、コーンスターチから作られたものが使われています。

 

 

【薬】 

コーンスターチから分解されてできた糖質(ブドウ糖)などが点滴や錠剤に利用されています。

 

【食用として】

①生での利用 生食 缶詰、ヤングコーン ヤングコーンの缶詰

 

②コーンスターチ:

トウモロコシのでんぷんを取り出して乾燥させたものコーンスターチのスターチは、「デンプン」や「のり」という意味があります。

 

○利用され例

・粉として 天ぷら粉、からあげ粉、マシュマロの表面の粉、ラムネの材料、

・とろみにをつける材料として みたらし団子、ジャム

・糖質(ブドウ糖・オリゴ糖)として・・分解して使われる

清涼飲料水、冷凍食品、レトルト食品などの加工、ヨーグルトなどにも使われている 

 

③コーングリッツ 

トウモロコシの胚乳をつぶした、荒めの粉。

 

○利用例 

イングリッシュマフィンのトッピング、コーンブレッド、カールなどのおやつの材料

 

④コーンフラワー:コーングリッツよりもさらに細かい粉。水分を吸うと粘りがでます。

 

ドーナツやホットケーキ、トルティーヤなどにも使われます。

 

■とうもろこしの料理

 

各国のとももろこし料理の紹介

 

■メキシコ 

タコス :ともろこしの粉でつくった薄いかわ(トルティーヤ)で肉、野菜などの具をまいたもの

「ウイトラコチェ」:トウモロコシの黒穂病に感染して真っ黒になった穂を食用にする

 

■アルゼンチン

ウミータ 熟す前のトウモロコシをつぶして、タマネギやトマト、香辛料と混ぜ、トウモロコシの皮に包んで煮る

 

■イタリア 

ポレンタ :沸騰したお湯の中に、トウモロコシの粉をいれて、おかゆのように煮て、オリーブオイル、塩、バター、チーズなどで味付けをしたもの

 

■ケニア 

ウガリ 沸騰したお湯の中に、トウモロコシの粉をいれて団子状になるまで混ぜたもの。焼いた肉やシチューと一緒に食べる

 

■ジンバブエ

サザ トウモロコシの粉に少しずつお湯を加えて、練り上げて作る。手でこねるようにつかんで、おかずと一緒に食べる。

 

———————————————————————–

※参考文献

「とうもろこしの世界史」 鵜飼保雄著

「地球を救う植物 トウモロコシ」 津幡道夫

「姿を変える食べのも⑤ トウモロコシが変身」 監修 香西みどり

「そだててあそぼう トウモロコシの絵本」 農文協

「植物は<知性>をもっている」 ステファノ・マンクーゾ+アレッサンドラ・ヴィオラ