野菜の物語/トマト
2016.7.8(金)
はじめに
世界中で愛されてやまない野菜トマト。トウモロコシ、ジャガイモなどのでんぷん原料作物と大豆を除いて、野菜の中では世界で一番作られている野菜。私個人としては、一番大好きなです。
忘れもしない1985年。達也少年小学3年生のころ。近所の八百屋に颯爽と登場した「桃太郎」。親しみやすいネーミングもさることながら、一口たべて、その甘くて、おいしい味のファンになりました。
いわゆるトマトの青臭さがなく、トマト嫌いの子供でも食べられるトマトとして、トマトの歴史を変えた品種だと思っています。現在では、生食から加工まで様々な料理の用途に合わせて使われ、世界中の食卓をにぎわせているトマトさん。
僕も、みんなも愛してやまないトマトちゃんの物語を見ていきたいと思います。
★原産地と歴史
トマトの故郷は、日本から遠く離れた南米アンデス山脈の西側の高原から海岸地帯、中央アメリカ、それとガラパゴス諸島などにも自生していて、7~10種類が発見されています。トマトの原産地は、太陽光線が強く、乾燥していて、昼夜の気温差が15℃以上にもなるところです。降雨量だけで比較しても、ペルーの首都リマの年間降水量は13㎜、東京は1529ミリ。日本では、2000ミリを超える地域がたくさんあります。
日本のトマトの最大の産地である熊本でも年間降水量は、1500以上のところも多く、2000ミリを超える地域もあります。
原産地と違う環境ではありますが、ハウスなどの施設で環境をコントロールし、世界的にみても非常にレベルの高い品質のトマトを生産しています。
ちなみに、栽培され始めたのは、現在のペルー及び、メキシコなどで栽培されるようになったという説があります。
世界に広がるきっかけは、メキシコのアステカ帝国がスペイン人のコルテスによって1521年に滅ぼされたことにより、トマトやジャガイモ、トウモロコシなどの作物がスペイン及び、当時のスペインの植民地であるナポリ王国などに持ち込まれ栽培されるようになったのがきっかけです。
16世紀にヨーロッパに渡りましたが、その後、ながらく、独特のにおいや色から「毒草」とされ、鑑賞用にとどまりました。実際に食用として本格的に利用されはじめたのは、200年近くたった18世紀からです。
イタリアでは、パスタとトマトが出会い、トマトはソースとして使われました。
アメリカでは、1890年ごろから、トマトケチャップが開発され、ハンバーガーやフライドポテトにはなくてなならないものになっています。
ちなみに、日本へは、1624年~1645年に長崎の出島に伝わったとされ、日本での初めてのトマトの絵は、江戸時代の初期の天才画家 狩野探幽(1602~1674年)によって「唐なすび」として描かれました。コルテスのアステカ王国侵略後、地球を一回りして、約120年の時を経て日本画として描かれたのです。また、1709年に、医師の貝原益軒が書いた「大和本草」で「唐ガキ」として紹介されています。
江戸時代は、食用で利用の記録はなく、明治時代になり、1872年、内藤新宿試験場(現在の新宿御苑)で試験的に栽培が始まりました。
本格的に日本でトマトが栽培されるようになったのは、1960年以降になり、50年ほどの歴史があるにすぎません。
★トマトの保存方法
水分が多く、すぐに傷んでしまうトマトの保存方法については、冷蔵庫の無い時代、大きな課題でした。
1800年代の初めに画期的な2つの食品保存方法が開発されました。
ガラス瓶を湯の中で加熱して保存する方法
カンにつめて保存する方法
ガラス瓶に詰める方法は、ナポレオンの軍隊によるヨーロッパ遠征をおこなっていたフランスが食料の長期輸送に耐えられる長期保存の方法を、賞金付きで募集した結果、1804年に、ニコラ・アペールによって開発された。
しかし、瓶は、輸送中に割れやすいということもあり、1810年にイギリスのピーターデュランドによりブリキ缶に保存する方法が開発された。その後は、アメリカに技術が伝えられ、自動の缶詰製造機が開発され、機械化がすすんだ。ちなみに、日本初の缶詰は、1871年(明治4年)に長崎でフランス人から教わりながら作った「イワシの缶詰」が最初だそうです。
○長期保存
・びん詰、缶詰
種類:
ホールトマト・トマトピューレ・トマトペースト・トマトジュース・トマトケチャップ・トマトソース・チリソース
○中期的な保存
・つるしトマト :イタリアで栽培される皮の厚い品種は、房ごとまとめて、風通しの良い日陰につるしておくと、翌年の春まで食べられるようです。
・ドライトマト
トマトをからからになるまで乾燥さえたもの。お湯で戻したり、オリーブオイルにつけて使ったりします。
★トマトの旬は?
日本の一般地 関東周辺でいうと、露地栽培の旬は6月~8月。しかし、この時期は高温多湿になるので、病気や味がのりにくい。本当においしいのは、春先か、秋口にかけて、気温が下がって雨が少なくなってきてから。
沖縄の冬の気温は、トマトには最適の気温になるので、ハウスや路地で作ったものは、おいしかった。日本で一番の産地は、ダントツ熊本県。一年中、供給できる体制が整っている。
★トマトの調理方法
日本でトマトが本格的に食べられるようになったのは、高度経済成長期の1960年頃から。サラダなどの生食で食べることが多かった。その後、食生活の変化に伴って、
生食だけでなく、ピューレやホールトマトなどの利用も進み、イタリアンのパスタのソースとしてや様々な料理に利用されている
★トマトの豆知識
「トマトが赤くなると、医者が青くなる」 イタリアの有名なことわざです。
トマトを食べると健康になってしまうので、それだけ、医者の稼ぎがへってしまう。という諺になるくらい
トマトが健康に貢献することをのべたことわざですね。
★トマトの品種
世界には8000以上もの品種があると言われています。
主に用途によって4つに分けられます
①加熱調理用(加工品)
イタリアで作られた品種が多い。代表的な品種だとサンマルツァーノなどがあります。
オレンジ色で果肉が厚く、中身のゼリーが少ない。酸味が強いことからもうまみ成分がたくさん含まれていることがわかります。水分もすくなく、加熱調理すると濃厚さが増します。
②生食用
アメリカで品種改良されたものが多く、ピンク系の色で甘みがあり、青臭くないトマトが多い。日本の代表的な品種でいうと桃太郎かな。
③ミニトマト
サラダ用として、日本では1980年に栽培が盛んになった。最近では、フルーツトマトとして、糖度の高い品種が数多く出てきている。しかし、野生種により近いトマトです。
④巨大トマト
ビーフステーキ種とよばれている。主に、ハンバーガーやサンドイッチなどに使われている。大きいものだと重さ1㎏、直径14~16㎝以上になることもあります。
○トマトの料理
基本は、トマトピューレ(フォンデュ)を基本にして
①香味野菜を加えれば、トマトソース、
②酢・砂糖・塩の他スパイス調味料を加えてトマトケチャップ。
③トマトスープに展開させたり
④野菜と果物、調味料を加えてトマトドレッシング
さらにこの4つと食材が合わせって多様な料理に展開していきます。
各国のトマト料理の紹介
●イタリア
・ピッツァ マルゲリータ
・カポナータ
●フランス
・ラタトゥユ
●スペイン・ポルトガル
ガスパチョ
●トルコ
サルチャ
●ギリシア
イエミスタ
●エジプト
コシャリ
●チュニジア
クスクス